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アニデレにおける加蓮と奈緒の振る舞いについて

アニデレにおける加蓮と奈緒、特に加蓮の振る舞いについて、嫌悪感といった引っかかりを覚えている方が結構いらっしゃるらしい、と風の噂で聞いたので、その事について少し私の考察っぽいものを述べます。

 

まずは、加蓮と奈緒のした事(実際に表に出した事)を少しだけピックアップします。

以下に挙げるのは殆どファミレスでの発言等です。

 

自分はこのチャンスを逃したくない

奈緒と凛と一緒に歌いたい

凛はどうなの?

もう一度合わせれば、きっとわかる

来なかったら仕方ない

凛の立場をわかっているつもり、それでも懸けたい

感じた何かはきっと本物

 

といった具合です。全てでは無いのでご注意を。

さて。

加蓮も奈緒も、凛の立場や気持ちを考えていないわけではないし、その事を口にもしています。
決まっていたはずのデビューが潰れ、それでも舞い込んだチャンス。同情や気遣いだけで手放すには余りにも、惜しく、辛い。

そう2人の心中を察するのはそう難しい事ではないはず。


では何故嫌なイメージを持たれるのでしょうか?

私が感じた3つの要素は、

  1. 視聴者はシンデレラプロジェクトを中心にこの世界を見ており、彼女らが尊重される事が何よりのハッピー展開?
  2. 特に加蓮は、凛に対しては、自分の意思についてばかり伝えている
  3. まるで加蓮と奈緒シンデレラプロジェクトと敵対し、あまつさえ潰す側に立っているように見える?

 です。

では、それぞれについて見ていきます。

 

1.視聴者はシンデレラプロジェクトを中心にこの世界を見ており、彼女らが尊重される事が何よりのハッピー展開?


シンデレラプロジェクトを通して物語が描かれているので、視点の中心がシンデレラプロジェクトにあり、そこから世界を見ているのは、ある種当然の事です。当時は自分もそうでした。ていうかそもそもそういう構成ですしね。
この視点の問題は、2.についても強く関わってきますが、ここで述べたいのは、

シンデレラプロジェクトの視点で物語を見る、というのと、シンデレラプロジェクトがこの世界の中心だと思って物語を見る、というのは違うだろう、という事です。
後者のような、シンデレラプロジェクトが全面的に絶対的に尊重されなければ、もしくはそうならないように振る舞う存在に嫌悪感を抱く(※常務の横暴さは明確な敵役演出なので別)、という事があれば、
極端な言い方をすれば
シンデレラプロジェクトの面々が望むような展開になる為に、その他のアイドル達の進退は犠牲にすべき、もしくはどうでもいい」
という考えに通じ、
それは例えば
「人気のあるアイドルが優遇されるのは当たり前で、その結果そうでないアイドルがおざなりになるのも当然」
音ゲーなんだし声付きアイドルばかり活躍したりガシャの機会が増えて他がおざなりになるのは当然」
といったようなところにまで発展しかねない、もしくはそういう考えを暗に支えている発想だと思います。

 

物語の視点がシンデレラプロジェクトに置かれているのは事実です。しかし、だから彼女らが絶対的に尊重されるべき、というのは違うと思うのです。


誰もが、シンデレラ。
このフレーズは、本当に重い。

 

 

2.特に加蓮は、凛に対しては、自分の意思についてばかり伝えている


大前提として、歩道橋でのやり取りからわかるように、奈緒と加蓮は意識や気持ちの方向を共にしていて、凛との向き合い方も共通している、という事があります。
それを踏まえて話をします。

 

21話で「アタシ達のせいだよな」と言った奈緒は、凛が自分のせいだと言いそうになるのを遮って「それでも」と話を続けます。
これは、凛の話を聞く気がない、のではなく、凛に謝らせないための対応だったのではないでしょうか。
凛を苦しめているのは紛れもなく自分達で、凛が自分のせいだと謝るのも、自分達に気を遣った結果自分達を(も)選ぶというのも良くない。自分達のワガママを伝える以上、同じくらい凛にもワガママになって答えてもらう事が、加蓮と奈緒の望む所だったのではないでしょうか。

 

しかし「待つしかないから」という言い方は棘があるとは思います。「待ってるから」で良かったはずです。この言い方については、加蓮と奈緒の立場の脆さ、チャンスをまた失うかもしれないという怖さから、思わず出てしまった言い方なのだと思います。そのくらいは許して欲しい。この段階ではアニデレでトップレベルにキツイ境遇の2人なんですから。

 

少し脱線しました。戻します。

 

加蓮と奈緒は、自分達のしたい事、成したい事だけを敢えて伝えて、凛と向き合いました。

同じように凛が、自分の望むように選択した結果、トライアドを選ばなければ、きっと2人は納得したのだと思います。またこの時の凛は、周りに気を遣うばかりで、本当に自分の成したい事を言葉にしていませんでした。

 

この、自分の成したい事を明らかにして、その為には未知にも臆さない、という進み方は、最終的にシンデレラプロジェクトが辿り着いた答えの1つとなります。


アナスタシアと未央と美波がソロ活動という形で、仲間のチャレンジを応援し、自分もまたチャレンジしていったように。
自分には何があるのかわからない、それでもアイドルで居たい、と語った卯月と、その手を取ったプロデューサーのように。
みんな今頑張っているから、みんなに私の声が届くように、会えなくても大丈夫、怖がってばかりだと見えない景色があると思うからetc……と最後に語った、シンデレラプロジェクトのように。
思い返せば、大切にしたいステージのために、クローネの誘いを断った楓さんも、通ずる所があります。

今までしてなかった事、これまでの在り方を大きく変えてしまうかもしれない事に選ぶのは、たとえそれが自分のしたい事だとしても、怖いはずです。
加蓮と奈緒も、同じです。むしろ一足早く、その姿勢を確立していたのです。

 

加蓮と奈緒も、物語が帰結した在り方をしていたはずなのに、あまりそう受け取ってもらえていないような感じがします。

 

このすれ違いは、おそらく常務が悪役として描かれたからなのでしょう(横暴=悪役という図式が成り立つのであれば、悪役なのだと言い切る自信を持てますが)。③に続きます。

 

 

3.まるで加蓮と奈緒シンデレラプロジェクトと敵対し、あまつさえ潰す側に立っているように見える?


加蓮と奈緒が凛をクローネの一員に引き込もうとしている事は、シンデレラプロジェクトを潰す行為であり、それが許せない。そう感じている方がいらっしゃるかもしれません。

 

悪役の率いるプロジェクトクローネに属する事は、悪に降ったという事なのだと。ましてや「主人公」であるシンデレラプロジェクトからの引き抜きなど、許されるはずもないと。

 

常務が敵役としてあったのは賛同しますが、プロジェクトクローネという存在が敵役であるとは思いません。

そもそも、プロジェクトクローネの活躍=シンデレラプロジェクトの解体ではないのです。

シンデレラプロジェクトの存続をかけた評価は、プロジェクトクローネとの比較で行う、とは述べられてないのです(常務は今季末に何かしらの結果・成果を上げろとしか言ってない)。


という事は、渋谷凛を引き抜く事はシンデレラプロジェクトを潰す事だ、というのは、
渋谷凛を引き抜いてしまうとシンデレラプロジェクトは成果を上げられなくなる、という意味になります。

ん?

シンデレラプロジェクトって、そんなに力の無い部署でしたっけ。
渋谷凛は、2つのユニットの両立を、簡単ではないとはいえ、こなせないような存在でしたっけ。
今思えばですが、少し嫌な言い方をすれば、アニデレ世界における凛は、僕らの知る絶対エース、シンデレラガールの渋谷凛では、ないんですよね。

ちょっと矛盾しますが、むしろ当時の私は凛ならなんとかこなしてしまうだろうと心の何処かで思ってました…。

 

ダメージが致命傷じゃないから責められる事では無い、と言いたいのではありません。


このやり取りから生じる後ろめたさは、凛も奈緒も加蓮も感じていますし、時には言葉にもしています。そういう気持ちを抱えたうえで、アイドルになりたい、と自分を奮い立たせた加蓮と奈緒は、僕はカッコいいとさえ思います。強さを、感じます。

 

未央と卯月の気持ちを考えろ、という意見は当然あると思います。

辛かったと思います。その瞬間は、裏切られた気持ちにさえなったのでしょう。未央と卯月にとって、ニュージェネが全てだったんですから。


では、同じくらい加蓮と奈緒の気持ちを考えてあげてください。

辛かったと思います。決まっていたデビューが突然無くなり、裏切られた気持ちにさえなったのでしょう。その時、2人がデビュー出来る可能性は、トライアドが全てとなりました。

 

苦しんだから許されるのではありません。苦しいからこそ、自分達がどう凛と向き合うべきか悩んで考えた結果があの姿勢だと思うと、随分印象が変わってきませんか?

そう決意させたのは、画面にいない、彼女達のプロデューサーとの関わりもあるかもしれません。仮にそういう存在がいるならば、加蓮と奈緒とプロデューサーは、自分達が離れたとしても、アイドルとしてデビューする事を選んだという事になります。正直、泣けてくる。ごめんなさいここはぶっちぎり妄想です。スピンオフを作らないかなぁってずっと思ってましたが思ってただけでした。ごめんなさい。

 

ところで、未央は、彼女が強い人で本当に良かった。プロデューサーの助力もあったからこそかもしれませんが、彼女は1度も加蓮にも奈緒にも当たったりしなかった。あの世界でいちばん2人の事を救い、背中を押してくれたのは、未央かもしれません。本当に感謝したい。ありがとうございました。

 


〜結び〜

2.で述べたように、加蓮と奈緒の振る舞いは、結果としてシンデレラプロジェクトの辿り着いた在り方と同じものでした。

シンデレラプロジェクトが目指した心意気を、シンデレラプロジェクトという枠の外、もっといえば対とも言えるような場所で実践していたのが、アニデレでの加蓮と奈緒という存在なのではないでしょうか。

 

この2人の向き合い方のおかげで(未央のおかげというのも同じくらいかもっと大きいくらいですが)、凛は以降トライアドプリムスとして活動する事に、変な後ろめたさを感じる事も無く居られるのは、その後の様子から察しても許されるのではないでしょうか。

 

長くなり過ぎました。


誰もがシンデレラ、という事の意味の1つは、どのアイドルにも物語がある、という事だと私は思います。

 

アニデレから早2年。
デレステや5thツアー等々を通じて、誰もがシンデレラである事を、再び強く意識している今なら、2人の「強さ」に気づいてくれるのではないでしょうか。

 

あの時、その「強さ」を初めとした数々の魅力に惹かれ、担当を名乗るようになったしがない加蓮Pの、大きな独り言でした。

 

北条加蓮をよろしく(熱いダイマ)

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くまぞう